如意輪陀羅尼神呪経

一切愛楽法品第二  現代語訳
その時、観世音菩薩は衆生を憐れんで、さらに
秘密如意心輪陀羅尼を説いた、
(もしこの秘密如意心輪陀羅尼を必要とする人がいるならば、この陀羅尼を自ら誦えるべきです。
財に二種類あります。一つは世間財であり、二つには出世間財です。
世間財とは、金銀などの宝をいいます。出世間財とは、仏様のような
福徳と智慧の二つの美点を具え、
身心を悦びにあるれ、衆人に愛され敬われ、よく一切衆生の苦しみを救い、慈しみの心は増大して、一切の人々に仏の智慧を与えることができる人をいいます。
資産と利益を得たいと願う時その偉大な力を与えることができるのは、ただこの秘密蔵の世界だけです。
この陀羅尼を心にたもち、日々に誦えて、仏の教えを実践する人以外には、この陀羅尼を説いてはなりません。もし如意輪陀羅尼を修得しようと思うならば、私たちの観世音菩薩に心を向け、いつでもどこでも、たとえば浄処でも不浄処でも、常に誦持すべきであり、わずかでもいつわって、誦える日課の数を充してはなりません。また、観世音菩薩の名をよび如意輪陀羅尼を称え、あるいは、観世音菩薩を思念すべきです。
あるいは、国王、王子、后妃、公主、しさいしゃ、おうぞく、しょみん、れいみん、あるいは男あるいは女、童男童女という、仏教以外の教えを信奉する人々に、親しみ会おうとするものは、観世音菩薩の名を称え、五更(午前4時頃)に至るごとに、この陀羅尼を誦える日課を勧め
なければなりません。
もし最勝験者(観世音菩薩)を求めたり、あるいは国王に親しく見えようとするならば、七日の間に、五更に至るごとにこの陀羅尼を千八遍誦えれば、すぐさま観世音菩薩あるいは国王に会うことができましょう。もしも皇后に会おうと思うならば、この陀羅尼を九百遍誦えるべきです。
もしも王子に会おうと思うならば、この陀羅尼をハ百遍誦えなさい。
もしも宮中の女官に会おうと思うならば、この陀羅尼を七百遍誦えなさい。
もしも、公主に会おうと思うならば、この陀羅尼を六百遍誦えなさい。
もしも波羅門に親しく会おうと思うならば、この陀羅尼を五百遍誦ええなさい。
もしも刹帝利に親しく会おうとするならば、陀羅尼を四百遍誦えなさい。毘舎ならば、この陀羅尼を三百遍誦えなさい。
比丘と比丘尼に親しく会おうと思うならば、この陀羅尼を百遍誦えなさい。
世俗の男女の仏教信者に会おうとするならば、この陀羅尼を九十遍誦えなさい。
童男童女に会おうとするならば、この陀羅尼を六十遍誦えなさい。
以上のように、国王から童男童女まで親しく会うために、この陀羅尼を誦えることを、親近課法といいます。
この課法は一切の願いごとを成就し、金銭や物品、そして手伝い人や家畜などを求めるといった、そのような一切の願いも、それを欲する人々に与えるで有りましょう。
あるいは遠方にいて、このようなものを求める人がいるならば、疾風が吹いてくるように、その願いを満たすでありましょう。
およそ願いごとを実現しようと思うならば、この陀羅尼を毎日誦えるという日課を、
十分に勤めあげてこそ、初めてその願いごとが成し遂げられるのであります。
もしも観世音菩薩を見ようと思うならば、この陀羅尼を千ハ遍誦えなさい。
そうすれば、すぐにその真実のすがたを見ることができ、いの願いごとは成就し、心は満たされるでありましょう。
執金剛神を見ようと思うならば、この陀羅尼を一万遍誦えなさい。
そうすれば、それを誦える人の前に姿を現して、その人を、父が子を愛するように憐れみ心にかけて、その人が願うごとごとを、すべて与えくださるでしょう。
もし諸仏およびそれに従う諸菩薩を見ようと思うならば、この陀羅尼を一万三千遍誦えなさい。
そうすれば、すぐにもそれらを見ることができるでしょう。
もし七日七夜にわたって、この陀羅尼を誦えれば、心にたもって誦えている神呪は、みなことごとく、それを誦える人の眼前に現れ、
神呪の一句一句が、自ら陀羅尼の功能を具現して、その人の呪の神力を施与し、常にその人に随い、その人を擁護して、七日間に至って、この世界の主である転輪聖王および帝釈天が、もろもろの眷属と共にその人の前に来現して、その願いを叶えてくださるでしょう。
私が心から説いてきた誦課法によって、この陀羅尼を誦えたならば、求めるところの願いは、みな満足することができるでしよう)

大法輪閣 七観音経典集 
伊藤丈著 より